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「少なからず人種の壁は存在し、それを優に超える絆も存在する。」高井瞳NZ留学レポート

2021年1月7日をもって、ニュージーランドでの約一年間の留学生活が終了しました。留学期間中はオークランド東部に位置するHowick High schoolのYear12の生徒としてに在籍し、現地の学生とともに生活しました。

1)  内容:学校生活、課外活動、交友関係について

学校は広大な敷地に広がる平たい校舎と天然芝のグラウンドから成っており、狭い敷地に背の高い建物といった縦のイメージが強い日本の校舎とは対照的で、横に広い印象を受けました。ホームステイ先から学校までの距離は2キロほどで毎日約30分歩いて登校していました。日本の高校2年生にあたるYear12年生では、6つの教科を選択し、一年間学びます。私は、ENS(英語①)・ENF(英語②)・OED・PES(体育)・MATM(数学)・RMT(技術)の6つの教科を選択しました。

【時間割】

 MondayTusedayWednesdayThursdayFriday
Tutor TimeTUTOR8:50TUTOR8:40 TUTOR8:40TUTOR8:50
Period 1OED数学体育英語①英語②
Period 2技術OED英語①英語②数学
Period 3体育技術英語②数学OED
Period 4英語①体育数学OED技術
Period 5英語②英語① 技術体育

ENSとは留学生のための英語の授業で、スピーキングやライティングを主に習いました。少人数のクラスながら、中国・ベトナム・韓国・タイといった異なる人種、出身国の生徒と机を並べていました。英語を使って、自文化の特徴や魅力を発信していく機会が多くありました。

ENFは英語のリーディング、ライティングの授業です。与えられた課題を各自が解き、終わりしだい先生にアドバイスを貰いに行く、といった授業スタイルでした。

OEDとはOutdoor Education のことで体育とは少し違う野外でのクラスです。主に体を使ったゲームを行いました。バスケットボールやラグビーボールを使うものから、チキン(鶏のおもちゃ)を使うものまでありました。すべてのゲームに共通していたのは、チーム内での協力、話し合いが必要になるという点でした。先生は軸となるルールを決めるだけで、生徒の自主性や主体性が不可欠なものでした。授業時間以外には2ヶ月に一回ほどの頻度でトリップとよばれる校外学習がありました。私は、日帰りのカヌー、1泊2日で海の上での宿泊体験、2泊3日でtramping、5日間のhigh roop体験、ロッククライミング、first aidのトレーニングのアクティビティに参加しました。

PESは体育の授業です。授業はtheory(教室での授業。日本でいう保健の授業にちかい)とpractical(実技)の二種類がありました。practicalでは日本でも馴染みのある卓球やバトミントンといったスポーツから、ラグビーやクリケット、ネットボールといったニュージーランドらしさを感じるスポーツも体験しました。

MATMは数学、主に統計学の授業でした。

RMTはパソコンからものづくりまで幅広くを扱う授業で、一年をかけて独自のコーヒーテーブルを作りました。3Dコンピューターやレーザーカッターなどを使う機会もありました。

課外活動として、LEO・ENVIRONMENT・ZONTA・女子ラグビー部の4つのクラブに所属しました。

LEOSクラブでは、幅広いテーマから一つ議題を決めて、意見交換などを行い、考えや理解を深めることを目的としたディベートを行いました。

ENVIRONMENTクラブは、その名の通り環境について考えるクラブです。Planting Treeという緑を増やすことを目的とした、木を植えるボランティアにも参加しました。

ZONTAクラブは女性問題について考えるクラブです。コロナウイルスの影響で女性の社会的地位向上への話し合い以外の活動は行えませんでした。

女子ラグビー部は、7人制と10人制のチームに参加しました。7人制の大会では、Auckland、ニュージーランドチャンピオンという戦績を残しました。週に3回の練習と一回の朝のトレーニングがありました。

学校外では、MARISTという社会人のラグビークラブチームに参加していました。平日の午後の週に2回の練習と土曜日の午前中に試合を行いました。MARISTでは、10人制のAuckland大会に出場し、優勝しました。練習の終わりには、円陣を組みお祈りをするという習慣がありました。私の最後の練習の日には、日本語でのお祈りを求められ、一年間の感謝の祈りを捧げました。

ニュージーランドでの友人の多くはラグビーを通じての仲間です。私のチームにはFIJIやSAMOAといった周辺の島国出身者が多く、とても優しくしてくれました。Lunchも一緒に食べていました。お弁当のあとには、バスケや鬼ごっこなどをして楽しい時間を過ごしました。

一年間お世話になったホストファミリーは、老夫婦といった感じのホストファザーとホストマザーの二人とダックスフンドが二匹いる家庭でした。長年に渡り留学生にホームステイ先を提供しているようで、とても過ごしやすかったです。

2)  振り返り:印象に残ったこと、学んだこと、

私はこの一年、友達の存在の大きさに気付かされました。自由に選んで座る教室の座席、長いランチタイム、試合の間の時間など、隣に人がいないだけでこんなに不安になるものなのかと、自分に驚きました。

どんなときでも私達には居場所が必要で、居心地の良い居場所という存在を与えてくれるのは友達なんだと痛感しました。

少なからず人種の壁は存在し、それを優に超える絆も存在する。そんなことも感じました。留学当初は、対人関係に文化、人種などのちがいが影響を及ぼすということに多少のショックを受けました。

とある練習の次の日の朝ベンチに腰をおろそうとした時、太ももに筋肉痛がはしり滑稽な姿でうめいていたら、隣のチームメイトも同じような姿をしていた。ということがありました。言葉にすると伝わりにくいのですが、当時はそれが本当におかしくて、二人で声を上げて笑いました。こんななんてこない瞬間に、友情的なものを感じました。

そして、英語は学ぶ対象という感覚ではなく、学びを広げるツールである。ということを、自分の肌で感じることができました。

3)  今後の展開

私はこの一年の留学から、自分の知らない、日本の外の世界の広さと魅力に改めて気付かされ、自分の進路についての考えが大きく変わりました。やりたいことが具体的にきまってはいないのですが、たくさんの文化にふれ、たくさんの人に出会い、たくさんの道を歩く事のできるような将来を目指して、これからの歩みを続けていきたいと思います

貧困という地球規模の課題に漠然としたものながらの、問題意識が自分の中に存在し、なにかしたいという思いがあります。日本から、何ができるかを考えるのではなく、現地に長期滞在し当事者と同じ景色の中で活動できる、そんな経験をこの先していきたいです。